企業信用調査のアプローチ
与信管理

企業信用調査のアプローチ

大手信用調査会社によって確立された信用調査手法がイノベーションの波によって変革期を迎えつつあります

長年に亘り企業信用調査の業界に従事して来たが、昨今の調査手法における変化には、目を見張るものがある。帝国データバンクや東京商工リサーチがリードするこの業界は、慣習的に調査担当者が現地に訪問することが義務付けられていたり、また被調査先の経営者(多くの場合は社長)と面談し、決算書開示を促したりしながら情報収集を進めるものであった。さらに調査会社にとっては、この面談こそが自社商品を販売する好機であり、名刺サイズの広告や、分厚い企業要覧などが販売されてきた。

中には、評点を付与するという立場を利用して、そうした商品を売りつける会社もあると側聞され、また契約をすれば、良い評点を付与してやるといった交渉も日常的に起こっているようだ。

こうした100年以上続いてきた慣行に、風穴を開けるベンチャー企業や、外資系信用調査会社の台頭が著しい。

先に述べたような、調査担当者と被調査先の力学で決まる評価や情報の信憑性を疑い、あくまで客観的な情報で判断するという方針である。

あるべき姿としては、海外では常識になっているコマーシャルクレジットビューロの構築を最終目標にしているが、それが無い現在において、上の新興企業が目を付けている点は、業界慣例に縛られた人間には驚きである。

つまりは、オルターナティブデータと横文字で表されるもので、インターネット上にあふれる情報に基づき、企業信用程度を判断するのである。特に、国税庁が法人マイナンバーを開放した効果は大きく、これをクローリング技術によって一機に収集することにより、500万件近い企業インデックスデータが構築される。

このデータに、肉付けする方法も多様であるが、多くはインターネット上のホームページに溢れる非構造型データを収集し、独自の言語解析によりデータベースに組み込む仕組みがとられている。例えば、会社名にも表現の仕方が多々あり、社名・商号・法人名などが挙げられるが、言語解析ではそれらをすべて会社名のカテゴリーに分類し、自動的に適切な項目に吸い込むのである。その他、経営審査事項やEDINETのデータなどが、肉付けとして多く活用されている。

土台となるデータが整うと、いよいよ評価である。日本の信用調査では、会社の規模と評点が比例するような格付型が好まれてきたが、オルターナティブデータを活用するプレイヤーは、一様に債務不履行リスクを数値化している。(例:倒産確率)

ツイッター等のデータを活用し、消費者が当該企業についてネガティブな投稿をした場合や、当該企業の経営者のツイート頻度が落ち込んだ時など、独自にウェイトを置いた各条件をスコアに絡め、倒産に至る傾向を数値化している点が興味深い。

審査マンとしては、それら調査会社間で発生しつつある評価の違い、評価が持つ意味の違いを十分に理解し、日々の審査業務に当たる事が求めらつつある。

 

(著・中村 裕幸/ Chief Strategy Officer / クレディセイフ企業情報)

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