定期的な見直し:年1回の財務分析を基本とする
与信限度額は、最低でも年に1回の定期的な見直しが必要です。見直し時期は取引先企業の決算期における決算書の開示時期が目安となります。たとえば、3月決算の取引先の場合、決算書が開示される6月頃に情報を収集し、3カ月後の9~10月頃には新たな与信限度額を決定するのが理想的です。取引先企業の数が増えるほど、見直し作業の負担も大きくなります。そのため、社内で対応期限や一定の与信見直しルールを定め、スムーズな管理体制を構築することが重要です。
特に注意が必要なのは、自社にとって該当取引が売上全体の大部分を占めている場合や、要注意と認識している取引先企業です。これらの取引先については、見直しの期限を短縮したり、見直しの回数を増やしたりすることで、管理レベルを上げる必要があります。四半期ごとの見直しや、場合によっては毎月のモニタリングも検討すべきでしょう。
都度見直し①:取引金額が増加した場合
取引金額の増加は、債権残高および貸し倒れリスクの増加を伴います。事前に決定した与信限度額を超えた取引を取引先企業から要請された場合には、与信審査や調査を行った上で、与信見直しを実施する必要があります。この場合、単に取引金額が増えたから与信枠を拡大するのではなく、なぜ取引が増加したのか、その背景にある取引先の事業状況を詳しく分析することが重要です。
取引増加の理由が取引先の事業拡大によるものであれば、財務状況も改善している可能性が高く、与信枠の拡大を検討できます。一方で、他の仕入先との取引が減少した結果として自社への発注が増えている場合は、取引先の資金繰り悪化のサインかもしれません。このような場合は、慎重な調査が必要です。
都度見直し②:支払遅延や信用力悪化が発生した場合
資金繰りの悪化などによって、取引先企業からの売掛金支払いが遅延した場合、信用が低下することになります。このようなときは、与信限度額の縮小を検討する必要があります。支払遅延は、取引先の財務状況悪化のもっとも明確なシグナルの一つです。一度でも遅延が発生した場合は、その原因を徹底的に調査し、一時的な問題なのか、構造的な問題なのかを見極める必要があります。
また、自社だけでなく、他社との取引で高額の焦げ付きが起こっていたり、支払い遅延などが発生していたりする取引先企業は、大きく信用力が低下しています。この場合は、自社取引にも影響を及ぼす可能性が高いため、与信見直しを行います。与信管理で重要なポイントは、こうした事象が発生した際に、きちんと与信管理担当者へ情報が入ってくる体制を構築しておくことです。正確な情報のタイムリーな入手・把握が、与信見直しの第一歩と言えるでしょう。