総則:規定の基盤となる方針
総則は、与信管理規定全体に適用される決まりです。形だけの前文にとどめず、組織としての姿勢や体制をはっきりと示す必要があります。
まず、規定の目的を明確に記載します。「信用取引における売掛金の貸倒れリスクを把握し、未然に防ぐ」「取引先への貸付に対する回収可能性の管理と、貸倒れリスクの最小化」といった内容が一般的です。
次に、適用の範囲を定めます。どのような取引先を対象にするのか、どのような業務を対象にするのかという2点を記載します。
責任体制の定義も重要です。統括部署はどこなのか、誰が最終判断を行うのか、どの部門がどんな情報を収集・提供するのかを明文化し、業務の属人化を防ぎます。営業・経理・法務など、与信管理に関与する部門を列挙し、それぞれの役割を整理することで、判断や対応が一部の担当者に偏らず、組織として安定的に業務を進めやすくなります。
与信限度額の設定基準と承認フロー
与信限度額をどのように設定するかは、慎重に設計するべき部分です。
設定基準としては、直近の財務データ、支払実績、業界の安定性、自社との取引関係の親密度などを総合的に評価します。評価結果に基づいた社内の承認プロセスも整備する必要があります。限度額の設定や変更には、複数部門の承認を必要とすることで、一人の判断ミスによるリスクを防ぐことができます。
また、与信限度額は一度設定して終わりではなく、経営環境や取引内容、取引先の信用度の変化に応じて柔軟に見直す必要があります。与信限度額の有効期限を設定し、定期的な見直しのタイミングを明確にしておくとよいでしょう。与信限度額を超えてしまった場合の対応についても、規定に記載しておくことが重要です。
与信管理の運用体制
規定を作成しても、正しく運用されていなければ意味がありません。
作成した管理規定を遵守するために、どのように従業員への指導・教育を行うかを記載しましょう。定期的な研修や勉強会の実施、マニュアルの整備、実務担当者向けのチェックリストの提供などが考えられます。また、未回収が発生した際には、取引先の状況を迅速に把握する必要があります。誰が回収状況を確認・報告し、回収ができていない場合には誰が対応を行うのかも規定しておくとよいです。
取引先の経営状況が悪化した際には、リスクを最小限に抑えるための迅速な対応が求められます。情報収集の方法、社内への報告ルート、対応策の決定プロセスなどを明確にしておくことで、緊急時にも混乱なく対応できる体制を整えることができます。
債権回収の管理と問題時の処理
債権回収に関する具体的な手順も、規定に含めるべき重要な項目です。支払期日の管理方法、入金確認のプロセス、未入金時の催促手順などを明文化します。
問題が発生した際の処理フローも詳細に定めておく必要があります。支払遅延が発生した場合の初動対応、取引先との交渉方法、法的措置を検討するタイミングなど、段階的な対応手順を整理します。また、貸倒れが発生した場合の会計処理や、再発防止のための分析・報告体制についても規定しておくことが望ましいでしょう。
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