Vol.2 信用調査の英語

与信管理の英語

海外企業との取引で押さえたいポイント

※PDFの提供は法人限定

Vol.2 信用調査の英語

Credit Report(信用調査レポート)

信用調査レポートは、消費者の信用情報に関するものと、企業の信用情報に関するものの2種類に大きく分かれる。

米国では、個人が自分の信用状態を知るために自分の信用調査レポートを確認することが多い。The Fair Credit Reporting(FCRA)(公正信用報告法)という法律によって、消費者は自分の信用調査レポートを大手のcredit bureau(信用調査機関)から無料で入手することができる。

Credit Rating(信用格付け)

企業は信用格付けを元に、与信判断を行い、金融機関は信用格付けを元に審査をし、融資利率も決める。

credit rating(信用格付け)にもいろいろな種類がある。個人、法人、国と分かれる。個人格付は、credit bureau(個人信用調査機関)と呼ばれる会社によって行われる。Equifax(エクイファックス)、Experian(エクスペリアン)、TransUnion(トランスユニオン)が大手である。
法人格付では、bond(社債)などを発効する大企業の格付けとそうでない企業の格付けに分かれる。前者はMoody's Investors Service(ムーディーズ)、Standard & Poor's(スタンダード&プアーズ)、Fitch Ratings(フィッチ・レイティングス)が世界的な格付会社である。後者では当社creditsafe(クレディセイフ)が業界に革新を起こすべくビジネス展開している。

Listed Company(上場企業)

海外取引先が上場しているか、非上場かは、与信判断において重要である。

海外のcredit report(企業情報レポート)を読む場合に意識しておかなくてはならないのが、上場、非上場の区別である。上場企業をlisted company、public company、publicly-held companyなどという。非上場企業は、unlisted company、private companyと呼ばれる。上場企業の場合、企業情報レポートにはfinancial statements(財務諸表)が必ず掲載されている。

2 10 net 30(10日以内2%割引、30日後払い)

海外で使われる支払条件の一種。早期割引の日数や割引率などの条件を示している。

"2 10 net 30"という表記以外に、"2% 10 net 30"、"2/10 net30"という表記もよく使われる。また割引率と日数の組み合わせもいろいろある。割引率は1~3%が多いが日数はさまざまで、珍しいところでは"1 30 net 31"という条件もある。

Doing Business as / DBA(商号)

企業情報レポートで正式な社名でなく、商号や屋号を表記するときに使われる用語。

doing business asは米国やカナダで企業の商号や屋号を表現する法律用語で、DBA、dba、d.b.aと記載されることもある。また英国、香港、オーストラリアなどではtrading as、T/A、t/a、と表現される。似た表現にaka、a.k.a、as know asもある。

Line of Business / LOB(業種)

業種を指すことも多いが、取扱品目を指すこともある。企業内部門の代わりに使用されることもある。

LOBは単にindustry(業種)を指すことも多いが、取扱品目を指すこともある。また、corporate division(企業内部門)の代わりに使用されることもある。credit report(企業情報レポート)では、LOBについてSIC(Standard Industrial Classification)(標準産業分類)が使われていることが多い。4桁のコードで、細分類まで分類されている。SICは米国で開発された業種分類だが、英国でも採用されている。

Current Investigation(直近の調査結果)

企業情報レポートで「直近の調査結果」の項目を確認すれば、調査がどの時点で行われたかがわかる。

国内企業情報レポートの多くは、調査時点からの日数の経過により価格設定を変えている。これに対して海外、特に欧米系レポートは、調査日数やデータの鮮度に関わらず、価格は一定である。同様に欧州系企業である当社の場合、最新調査日は履歴に反映される。なお日本国内のレポートは閲覧無制限、海外レポートも高品質なものを低価格で提供している。データが古い場合も新規調査で最新情報をスピーディに提供することが可能。

High Credit(最高与信額)

企業情報レポートの支払情報に記載される項目で、1回の売掛取引における最高金額を指す。

high credit(最高与信額)は、credit report(企業情報レポート)のpayment(支払情報)に記載される項目の一つであり、1回の取引の上限額を指す。一方credit limit(与信限度額)は、1回の取引の上限額ではなく、与信残高の上限額である。厳密にいえば両者は異なるが、同義語として使われることもある。

Net 30(30日後払い)

海外で使われる決済条件の一種。数字は起算日からの日数を表しており、支払い期日が分かる。

net 30以外にも、net 10、net 15、net 60もよく使われる。netは純額の意味で、値引きや割引後の正味額という意味。米国ではnet 30が一般的で、英国では net 60もよく使われる。net 10、net 15も請負業やサービス業で使われている。

Now Owes(与信残高)

企業情報レポートの支払情報に記載される項目。回収されていない売掛金の合計額を指す。

credit report(企業情報レポート)に記載されるpayment(支払情報)は、レポートを取得した月の当月、または先月の情報が記載されている。決算書に比べると、取引先の現在に近い資金繰りを推測することができる重要な情報源である。特にslow(遅延)やplaced for collection(回収代行の依頼)の表記に注意して確認をする。あまりにこうした表記が多い取引先は、売掛での取引を避けて前払いやL/C(信用状)取引で対応する。

Installment(分割払い)

企業情報レポートの支払情報に分割払いと記載される場合、支払遅延による分割払いの可能性もあるので、注意を要する。

installment payment(分割払い)がよく利用されるのは、mortgage(不動産ローン)などのbank loan(銀行融資)である。ところが、credit report(企業情報レポート)のpayment(支払情報)の項目にinstallment(分割払い)という記載を見かけることがある。これには二つの状況が考えられる。一つは建設やシステム関係などの業種で、取引金額が大きく、代金を受け取るまでの期間が長期の場合だ。進捗状況に応じて、顧客に代金の請求が行われるため、与信的に特に問題はない。もう一つは支払遅延による分割払いである。この場合は仕入先に対して、金額が大きく長期の支払いが遅延していること意味しているため、要注意である。

Uniform Commercial Code/UCC(米統一商事法典)

企業情報レポートのUCCの項目では、動産の担保設定情報が記載されている。債権者が誰であるかを確認する。

米国では州の権限が強く、州ごとに民法や商法が存在する。州を越えたビジネスがやりにくくなるので、米法曹界の民間団体が1952年に統一した法典を制定した。主に動産の売買、リース取引、信用状、担保設定などについて規定されている。UCC自体は法律ではないが、各州が法律として採用することで、効力が生じる。UCCはこれまでに、複数の改訂を経ているが、全米50州でいずれかの版を法律として採用している。

Non-Sufficient Funds (NSF) Check(不渡り小切手)

現金化できなかった小切手を指すが、日本の小切手の不渡りほど信用不安を呼び起こす情報ではない。企業情報レポートの支払情報に登場する。

NFS checkとは、残高不足で決済できなかった小切手のことである。bad check、returned checkとも呼ばれる。日本の不渡り小切手と違い、6カ月以内に2回の不渡りで銀行取引停止処分などの厳しい罰則があるわけではない。

Prompt(期日通り)

企業情報レポートの支払情報に記載される項目。仕入先に対する支払いが期日通りに行われたことを示す。

海外のcredit report(企業情報レポート)では、payment(支払い)に関する情報が記載されている。そこを見ると、supplier(仕入先)は開示されないが、各仕入先別の支払状況が記載されていたり、業種別の支払い状況が書かれていたりすることもある。

Median(中央値)

四分位分析において、データを小さい順に並べた場合、中央に来る値を指す。信用調査レポートでは、業界標準の項目に使われる。

credit report(企業情報レポート)には、industry norms(業界標準)という項目がある。日本の企業情報レポートでは、業界の平均値が記載されていることが多いが、海外では代わりに、4つの数値が記載されている。upper(第1四分位)、median(中央値)、lower(第3四分位)、subject(当該企業)である。これはquartile(四分位数)と呼ばれ、統計などでデータの分布のばらつきを表すのに使われる。データの総数が奇数の場合、中央値は完全に真ん中の値になる。偶数の場合、中央に近い値2つの平均を取る。単に平均値を比較するよりも、四分位数のほうが、業界全体の中で対象企業の位置づけが明確になりやすいという利点がある。

Collateral(担保物件)

海外では不動産に限らず、売掛金などの債権、在庫や設備などの動産を担保に取ることも多い。

企業情報レポートにおいて、collateral(担保または担保物件)は、登記などの公的情報の一部としてUCC Filing(米統一商事法典申請書)の項目に記載される。欧米では、法人向け融資や企業間取引での担保としてmortgage(不動産抵当権)を日本ほど使わない。企業情報レポートに記載される担保は、主に動産担保が中心となるため、レポートのsecured party(債権者)やfiling date(登記日)を確認することが大切である。

Lien(担保権)

企業情報レポートに記載されるのは小額のものが多いが、中には高額のものがある。資金繰りが厳しく税金を滞納している可能性がある。

lienは、担保権の一種である。lienは約定担保であり、法定担保でもある。例えば、自動車の割賦購入により設定されるauto lien(自動車担保権)は、約定担保。一方、税金の未払いで設定されるtax lien(租税担保権)、judgment lien(判決担保権)は、法定担保権にあたる。credit report(企業情報レポート)に記載されるのは租税担保権が多い。corporate income tax(法人所得税)など高額なものが記載されている場合、資金繰りが厳しく税金を滞納している可能性がある。 

Bank Reference(銀行照会)

信用照会と並んで取引先の信用情報を入手する手法。銀行から見た取引先の信用状態がわかる。

bank reference(銀行照会)は、取引先の信用状態を確認するための一つの情報源である。企業間取引においては、主に credit application(与信取引申請書)を活用して、銀行照会が行われる。一般的に銀行は顧客の情報を開示したがらない傾向があるが、取引申請書のコピーを見せたり、顧客から銀行に照会に応じるように依頼すると照会に応じてもらいやくなる。

Going Concern(継続企業)

取引先の財務諸表を分析するとき、「継続企業の前提に関する注記」が記載されているかどいうかを必ず確認する。

going concern(継続企業)とは、財務諸表の作成にあたり、企業が将来にわたって事業を継続するassumption(前提)にあるという考え方である。going concern assumption(継続企業の前提)にsignificant doubt(重大な疑義)がある場合、監査法人や公認会計士などの監査人は、その旨を財務諸表に記載する必要がある。

Annual Return(年次報告書)

英国、シンガポール、カナダなどの国の会社法に規定される、年に一度提出する義務がある書類。

annual return(年次報告書)とは、英国、シンガポール、カナダなどの国の会社法に規定される、年に一度提出する義務がある書類のことである。secretary/company secretary(秘書役)とは、会社法で設置が義務づけられている役職で、director(取締役)を兼務することはできない。

Registered Charges(登記担保)

英国、シンガポール、香港、オーストラリアなどの国の企業情報レポートに記載される項目。担保を設定している債権者が誰であるかを確認する。

registered charges(登記担保)とは、登記された、chargesを指す。chargeとは、具体的に、judgement(判決)、lien(担保権)、mortgage(不動産抵当権)などのこと。英国、シンガポール、香港、オーストラリアなどの国のcredit report(企業情報レポート)に、registered chargesという項目がある。そこには、charge number(登記番号)、charge date(登記日)、amount secured(登記額)、chargee(担保権者)などの情報が記載されている。米国のレポートのUCC Filing(米統一商事法典申請書)の項目に相当する。

Low Seven Figures(金額の範囲)

信用照会や銀行照会で使用される用語。数字と形容詞を使って、金額の範囲を示している。

bank reference(銀行照会)において、顧客の情報が開示される場合、詳細な情報の提供を避けて、range(範囲)で回答することが多い。その際、下記の形容詞とfigure(桁数)の組み合わせで表現されるのが慣例であ

 

形容詞

数字

Low

1~2

Moderate 

3~4 

Medium

5~6 

High 

7~9

 

例えば、medium five figuresの場合、5万~6万ドルになる。

Subsidiary(子会社)

企業情報レポートにおける子会社と関連会社の違いは、株式の保有比率によることが多い。

subsidiary(子会社)とaffiliate(関連会社)の違いは、各国の法律による定義が異なる。しかし企業情報レポートにおいては、株式の50%超を保有しているかどうかが判断基準になっていることが多い。50%超であれば子会社になり、50%以下は関連会社になる。企業情報レポートでは、親会社に関してもいくつかの表記がある。例えばultimate parent(最上位の親会社)は、グループ会社のholding company(持ち株会社)を指していることが多い。

Generally Accepted Accounting Principles / GAAP(米国会計基準)

直訳すると、「一般的に認められた会計原則」となるが、米国の会計基準を指す。

Generally Accepted Accounting Principlesは、直訳すると、「一般的に認められた会計原則」となるが、米国の会計基準なので、米国会計基準とも訳される。また、英語では省略形のGAAP、あるいは、U.S.GAAPとも言われる。米国で上場している企業は、GAAPに合致した財務諸表の作成が、Securities and Exchange Commission / SEC(証券取引委員会)によって義務付けられている。Financial Accounting Standards Board / FASB(財務会計基準審議会)が、GAAP全体を規定している。一方、州や地方政府に関するGAAPは、Governmental Accounting Standards Board(GASB)が規定している。

International Financial Reporting Standards / IFRS(国際会計基準)

近年、IFRSを採用する国が増えている一方で、日本や米国のように、全面的な適用を見合わせている国も出てきている。

International Financial Reporting Standardsは、正式には国際財務報告基準と訳されるが、国際会計基準と表現されることも多い。その前身が、International Accounting Standards Board(国際会計基準審議会)がその制定にあたっている。

Fair Credit Reporting Act / FCRA(公正信用報告法)

消費者信用情報会社に関する米国の法律。消費者は、年に一度、無料で自分の信用情報レポートを取得することができる。

Fair Credit Reporting Act(公正信用報告法)はconsumer credit reporting agency(消費者信用情報会社)に関する米国の法律で、1971年に施行された。消費者は自分の信用情報の正確性を確認するために、年に一度、無料で自分のcredit report(信用情報レポート)を取得することができる。具体的には、米国の三大消費者信用情報会社が運営するサイトから各社のレポートを取得する。日本では、消費者の信用情報は、業界別の組織が管理している。業界ごとに管理している信用情報が異なるため、自らの信用情報を正確に把握したい場合は、各団体の情報を確認する必要がある。

National Association of Credit Management / NACM(全米与信管理協会)

全米最大、世界最大の与信管理の業界団体。会員になることで、信用情報や業界の情報などの情報を入手できる。

NACM(全米与信管理協会)は、1896年に設立された。1893年のfinancial panic(金融恐慌)で倒産が急増したために、企業や金融機関がお互いに協力の必要性を感じたことが設立の背景だ。全米最大、世界最大の与信管理の業界団体である。主に、製造業、卸売業、金融機関などの企業が会員となっている。NACMの主な業務は、business credit reports(信用調査)、collections(債権回収)、education(教育)、certificates(資格)などである。

Without Recourse(償還義務のない)

小切手や約束手形などを譲渡するとき、裏書にこの文書を入れることで、不渡りになった場合、裏書人は支払義務を免れることができる。

check(小切手)やpromissory note(約束手形)や、その他negotiable instrument(流通証券)を譲渡するとき、裏書にwithout recourse(償還義務のない)という文言を入れることで、万が一、小切手や約束手形が不渡りになった場合、endorser(裏書人)は支払義務を免れることができる。何も記載せずに裏書きをすれば、それは、with recourse(償還義務のある)を意味することになる。小切手や手形に裏書きすることで、裏書人は支払義務を負うことになる。

※出典:「海外取引でよく使われる与信管理の英語」(牧野和彦著、IBCパブリッシング刊)