米国企業と取引をする際には、「YES」「NO」を明確に、はっきりした意思表示が必要というのは、よく言われていることですが、商談時は、難しい交渉になったとしても、結論を先延ばしにせず、その場で何らかの決定を行うことが求められます。
大事な商談の場には、できるだけ決裁者自身が現場に赴くか、担当者に決裁権を与えましょう。
そして無事に取引が成立しても安心してはいけません。比較的規模の大きい企業や名の知れている企業であっても、支払いが遅れることがよくあります。
ここでも曖昧な態度を取らず、毅然とした態度で粘り強く交渉をすることが必要になります。
また多様な人種が入り混じる米国では、政治や宗教の話題はもちろん、うっかり人種差別に繋がる発言をすることがないよう、細心の注意が必要です。
財務情報が取れない代わりにDBT(支払遅延日数)を見る
アメリカでは日本の官報(決算公告)のように中小企業が財務情報を公開する義務はありません。
代わりに財務情報が適切かを推察する方法、DBT(Day Beyond Terms)をチェックする習慣が根付いています。
信用調査会社は国内企業から支払情報のみを提供してもらう仕組みを導入しており、当該企業の支払遅延日数が期日からどのくらい遅れているか、ということを数値化しています。この数字を取引判断に活用いただきます。
なお、アメリカの場合取引金額の遅延は日常的に起きます。それは日本と違い、財務担当者はキャッシュをどれだけ会社に残しておけるか、という点が評価ポイントになるためです。優秀な財務担当者ほど無駄に早く支払うことはない、ということだけ覚えておきましょう。
トレード・レファレンスで安全性を確認しよう
上場企業の場合は、決算書をアメリカ証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission 通称SEC)へ提出し、ウェブサイトを通じて株式保有者へ公開する義務があるため、入手することができますが(一部例外あり)、未公開企業では、決算書を入手することは極めて難しくなっています。
そのため、米国ではトレード・レファレンス(Trade Reference)で取引先の実態を把握することが一般的です。
トレード・レファレンスとは、取引先同士で信用情報を交換する仕組みのことで、その企業と取引をしている会社、たとえ面識のない会社からでも取引金額や支払条件、遅延期間などの与信管理において重要な情報を手に入れることができます。
特に米国でその仕組みが発達しており、欧米の信用調査会社が体系的に収集しています。
米国企業の決算は12月期が多く、上場企業の場合は決算期から約3ヶ月後に入手可能です。しかし、前述のとおり、未上場企業の決算書に関しては、信用調査会社に依頼しても、手に入らないことが多いようです。