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アメリカ進出で知っておきたい商習慣・経済情報

アメリカは、数々の世界的企業を生み出し、経済・政治・文化のあらゆる面で世界をリードする国です。特にその市場規模と消費力の高さから、日本企業にとっても魅力的な進出先となっています。

しかし、日本とは異なるビジネス文化や商習慣を理解しないまま進出すると、思わぬトラブルに直面する可能性があります。さらにインフレ対策や金利政策の影響、貿易摩擦の懸念があるなど、経済環境も変化しています。

本記事では、アメリカ経済情報や商習慣を詳しく解説し、スムーズな進出を実現するためのポイントをお伝えします。

Chapter 1

基礎から学ぶアメリカの経済情報

アメリカ経済は、世界最大のGDPを誇る超大国であり、多様な産業が発展しています。近年はインフレ抑制のための金融政策が行われており、一部の業界では景気減速の兆候も見られます。

それでも、労働市場は依然として堅調であり、求人件数の増加やテクノロジー分野の投資拡大が進んでいます。また、AI・クラウド・ヘルスケアなどの成長産業が注目されています。

アメリカの基礎情報

  • 公用語:主として英語(法律上の定めはない)

  • 首都:ワシントンD.C.

  • 人口:約3億3,200万人(2024年)

  • 国土面積:約962.8万km²(日本の約25倍)

  • GDP(名目):6兆1,000億 USドル(日本は4兆2,100億 USドル 2023年)

  • 1人あたりGDP(名目):8万1,000USドル(2024年)

  •  

  • 通貨:USドル ($) (USD)

  • 宗教:信教の自由を憲法で保障、主にキリスト教

  • レポート保有件数:3,800万件

  • 主要産業:工業(全般)、農林業(小麦、トウモロコシ、大豆、木材他)、金融・保険・不動産業、ITサービス業

  • 祝日:11日

  • 民族:多民族 ※アメリカがこれまでに受け入れた移民の数は世界のどの国よりも多く、合計5,000万人を超え、現在も年間100万人近くを受け入れている。

  • 貿易関係:アメリカは日本にとって最大の輸出相手国であり、2022年度の日本の対米輸出総額は17兆6,000億円と全輸出総額の20.6%を占め、主に自動車、一般機械、電子機器などが輸出されている。

    一方、輸入相手国としては中国に次いで第2位で、2022年度の輸入総額は9兆3,000億円(全輸入総額の11.4%)で、航空機、医療機器、食料品などが主な輸入品目である。

経済成長と人口増加の見通し

アメリカは、先進国の中でも唯一、安定した人口増加が続いている国です。これは移民の積極的な受け入れによるものであり、2030年には3億7,000万人、2100年には4億7,000万人に達すると予測されています。

この人口増加は、労働力の確保や消費市場の拡大に直結し、経済成長を支える要因のひとつとなっています。

一方で、2024年のアメリカ経済には不安要素もあります。インフレ抑制のための利上げが企業の資金調達を難しくし、小売業界や航空業界では業績予想の下方修正が相次いでいます。しかし、AI・再生可能エネルギー・クラウド技術などへの投資は引き続き拡大しており、成長分野では新たなビジネスチャンスが生まれています。

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知っておいて損はない米国企業の商習慣

米国企業と取引をする際には、「YES」「NO」を明確に、はっきりした意思表示が必要というのは、よく言われていることですが、商談時は、難しい交渉になったとしても、結論を先延ばしにせず、その場で何らかの決定を行うことが求められます。

大事な商談の場には、できるだけ決裁者自身が現場に赴くか、担当者に決裁権を与えましょう。

そして無事に取引が成立しても安心してはいけません。比較的規模の大きい企業や名の知れている企業であっても、支払いが遅れることがよくあります。

ここでも曖昧な態度を取らず、毅然とした態度で粘り強く交渉をすることが必要になります。

また多様な人種が入り混じる米国では、政治や宗教の話題はもちろん、うっかり人種差別に繋がる発言をすることがないよう、細心の注意が必要です。

 

財務情報が取れない代わりにDBT(支払遅延日数)を見る

アメリカでは日本の官報(決算公告)のように中小企業が財務情報を公開する義務はありません。

代わりに財務情報が適切かを推察する方法、DBT(Day Beyond Terms)をチェックする習慣が根付いています。

信用調査会社は国内企業から支払情報のみを提供してもらう仕組みを導入しており、当該企業の支払遅延日数が期日からどのくらい遅れているか、ということを数値化しています。この数字を取引判断に活用いただきます。

なお、アメリカの場合取引金額の遅延は日常的に起きます。それは日本と違い、財務担当者はキャッシュをどれだけ会社に残しておけるか、という点が評価ポイントになるためです。優秀な財務担当者ほど無駄に早く支払うことはない、ということだけ覚えておきましょう。

 

トレード・レファレンスで安全性を確認しよう

上場企業の場合は、決算書をアメリカ証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission 通称SEC)へ提出し、ウェブサイトを通じて株式保有者へ公開する義務があるため、入手することができますが(一部例外あり)、未公開企業では、決算書を入手することは極めて難しくなっています。

そのため、米国ではトレード・レファレンス(Trade Reference)で取引先の実態を把握することが一般的です。

トレード・レファレンスとは、取引先同士で信用情報を交換する仕組みのことで、その企業と取引をしている会社、たとえ面識のない会社からでも取引金額や支払条件、遅延期間などの与信管理において重要な情報を手に入れることができます。

特に米国でその仕組みが発達しており、欧米の信用調査会社が体系的に収集しています。

米国企業の決算は12月期が多く、上場企業の場合は決算期から約3ヶ月後に入手可能です。しかし、前述のとおり、未上場企業の決算書に関しては、信用調査会社に依頼しても、手に入らないことが多いようです。

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米国企業の売上高トップ10

順位 企業名 売上高(兆円) 主要業種
1位 Walmart 58.0 小売
2位 Amazon 31.2 eコマース・クラウド
3位 Apple 29.4 IT・スマートデバイス
4位 Berkshire Hathaway 28.7 金融・投資
5位 UnitedHealth Group 24.8 医療保険
6位 Exxon Mobil 24.5 エネルギー
7位 CVS Health 21.6 医療サービス
8位 Microsoft 20.1 IT・クラウド
9位 Alphabet(Google) 19.8 IT・広告
10位 McKesson 19.5 医薬品卸売

トップ10には、アマゾンやアップル、GM(大手自動車メーカー)など、日本でも馴染みのある企業が多く、アメリカのみならずグローバルでも存在感ある企業が目立っています。

世界でも売上高1位のウォルマートは、2005年に大手スーパーの西友を買収し、いまでは同社の親会社として日本でも「Everyday Low Price」の企業文化を定着させています。

また、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットがCEOを務めるバークシャーハサウェイの本業は保険業ということはご存知でしたか?

コカコーラやアップルなどの大株主ということは広く知られていますが、投資以外にも、鉄道、エネルギー、建築、小売、製造など多種多様な企業を子会社に持っており、そのなかでも保険はその中核事業となっています。

※2018/8/31時点、売上高は百万ドル、日本円は110円換算

10. マッケソン(McKesson)

売上高:46兆3,000億円(3,089.51億ドル)
CEO:ブライアン・S・タイラー
セクター:医薬品流通
業種:医薬品卸売・医療サプライチェーン
本社所在地:テキサス州アービング
公式サイトwww.mckesson.com
Global 500掲載回数:24回
従業員数:48,500名

9. マイクロソフト(Microsoft)

売上高:38兆3,000億円(2,450億ドル)
CEO:サティア・ナデラ
セクター:IT・クラウド
業種:ソフトウェア・クラウドサービス
本社所在地:ワシントン州レドモンド
公式サイトwww.microsoft.com
Global 500掲載回数:22回
従業員数:221,000名

8. アルファベット(Google)(Alphabet)

売上高:52兆4,000億円(3,500.18億ドル)
CEO:スンダー・ピチャイ
セクター:IT・広告
業種:検索エンジン・クラウド・広告
本社所在地:カリフォルニア州マウンテンビュー
公式サイトwww.abc.xyz
Global 500掲載回数:18回
従業員数:180,000名

7. エクソン・モービル(Exxon Mobil)

売上高:52兆4,000億円(3,495.85億ドル)
CEO:ダレン・ウッズ
セクター:エネルギー
業種:石油・天然ガス・化学
本社所在地:テキサス州アービング
公式サイトwww.exxonmobil.com
Global 500掲載回数:24回
従業員数:62,000名

6. アップル(Apple)

売上高:58兆7,000億円(3,910.35億ドル)
CEO:ティム・クック
セクター:IT・ハードウェア
業種:スマートデバイス・ソフトウェア
本社所在地:カリフォルニア州クパチーノ
公式サイトwww.apple.com
Global 500掲載回数:16回
従業員数:164,000名

5. バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)

売上高:55兆7,000億円(3,714.33億ドル)
CEO:ウォーレン・バフェット
セクター:金融・投資
業種:保険・投資・エネルギー
本社所在地:ネブラスカ州オマハ
公式サイトwww.berkshirehathaway.com
Global 500掲載回数:22回
従業員数:383,000名

4. CVSヘルス(CVS Health)

売上高:55兆9,000億円(3,728.09億ドル)
CEO:カレン・S・リンチ
セクター:医療サービス・小売
業種:薬局・健康保険
本社所在地:ロードアイランド州ウーンソケット
公式サイトwww.cvshealth.com
Global 500掲載回数:23回
従業員数:300,000名

3. ユナイテッドヘルス・グループ(UnitedHealth Group)

売上高:60兆円(4,002.78億ドル)
CEO:アンドリュー・ウィッティ
セクター:医療・保険
業種:健康保険・医療サービス
本社所在地:ミネソタ州ミネトンカ
公式サイトwww.unitedhealthgroup.com
Global 500掲載回数:22回
従業員数:400,000名

2. アマゾン(Amazon)

売上高:95兆7,000億円(6,379.59億ドル)
CEO:アンディ・ジャシー
セクター:IT・小売
業種:eコマース・クラウドサービス
本社所在地:ワシントン州シアトル
公式サイトwww.amazon.com
Global 500掲載回数:10回
従業員数:1,540,000名

1. ウォルマート(Walmart)

売上高:97兆2,000億円(6,481.25億ドル)
CEO:C. ダグラス・マクミロン
セクター:小売
業種:小売・流通
本社所在地:アーカンソー州ベントンビル
公式サイトwww.walmart.com
Global 500掲載回数:24回
従業員数:2,300,000名

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