中国企業調査報告書にもとづく、自社格付け その2
与信管理

中国企業の信用調査報告書にもとづく、自社格付け2

中国企業の与信管理/信用調査

3 分

前回記事(中国企業の信用調査報告書にもとづく、自社格付け)では中国企業の決算書について、信頼できるデータとしての解釈を前提にした場合のメリットとデメリットについて、触れてみました。

結論としては、信頼に足ると解釈して進めるのはややリスクが高いとしましたが、決算書以外の情報はどのように自社格付け(与信判断)に落とし込むべきでしょうか。

Chapter 1

中国企業の法人形態と資本金について

中国企業は「中国内資企業」と、国外の資本が入った「外資系企業」に大きく分類されます。

 

内資の会社の多くは有限責任会社であり、登録資本金3万元以上、株主数50名以下という基準があります。

倒産・清算時の責任範囲は、それら株主の出資額に限定されますが、会社の登録資本金額の70%までは有形資産や土地借地権等にて供出できる事が興味深いです。

ただし筆者はかれこれ20年中国企業の信用調査報告書をみていますが、現金以外による払込みが行われている企業は、1、2件みたことがあったか、なかったかという程度です。

 

規模の大きな会社では、株式会社の形態がとれられます。

 

株式会社は、一般人(自然人)に対して、法人として扱われ、一般には当局の管理下において制限が生じる物品や無形資産に対する「所有権」をもつことができます。

すこし脱線しましたが、資本金は2名以上(200名以下)の創業者によって拠出され、株券を発行。

(半数は中国に居住している必要あり)最低資本金は500万元で、上場しようとする場合は3,000万元です。

またもし、中国当局の出資を得る株式会社である場合は、中国による関連法規制の順守が求められています。

 

他の形態として、一人有限責任会社というのがあります。最低資本金額は10万元と、実は有限責任会社よりも多いですが、複数株主がいる有限責任会社の資本金は3万元を優に超える場合が多く、一人有限責任会社の資本金の方が少なくなるケースが一般的です。

ただしこの「一人」は個人である場合と、法人である場合があり、想定が容易なとおり、一人の個人(自然人)が出資している場合は、その個人(自然人)の財布に増資の余力も依存する事になるので、やや心配が残ります。

他方、法人が株主である場合には、「一人」からわかるとおり、100%出資の子会社であるという事になりますので、親会社がどんな企業なのかにも注意を払うことが望ましいといえます。

 

上が法人形態のすべてを網羅している訳ではありませんが、外資の場合、一般的に一人有限責任として100%出資とするか、株式会社としての合弁となりますが、前者の場合、内資と異なり無限責任となります。

Chapter 1

中国企業の取引先規模はどうか?

上述のように最低限の資本金がわかると、取引対象がそことの対比でどの程度の規模なのかが見えてきます。

これは不思議な事ですが、日本国内のかつての有限会社の基準であった300万円、株式会社の1,000万円という軸は、中国企業の規模をみる際もある程度妥当な基準と言え、最低資本金以上、300万~1000万円程度の金額があれば、充分とはいえないもののそれなりであるという理解ができます。

他方、最低資本金ぎりぎりの場合は、(他の多くの会社がさらに払い込んでいる中で)相対的にリスクが高い先と読み取れます。

 

なお中国企業の資本金は、会社法の変更により登録資本金=払込み済み資本金となっています。

この変更があった際、日本でいうところの授権株式をもって資本金と称し、規模を大きく見せる中国企業が散発するのではないかという懸念が多くみられましたが、その心配はなさそうです(ただし、本当に払い込まれているかどうかは、別問題です。)。

 

今回は、中国の企業形態からみえてくる企業の性質と潜在リスク、資本金について整理してみました。

次回は、株主が自然人、法人であった場合の各リスクと、UBOについて触れていきたいと思います。

株式会社クレディセイフ企業情報 Chief Strategy Officer  中村 裕幸

著者: 中村裕幸 (株)クレディセイフ企業情報 CSO

学卒後、株式会社帝国データバンク入社。海外関連部署に配属の後、東京支社調査一部に配属。日本国内企業の信用調査業務に従事する。 2010年にエクスペリアンジャパン株式会社に転じ、取締役として海外企業信用調査、コンプライアンス事業の拡大に寄与。 与信管理業界に革新を起こすクレディセイフにて、2019年より戦略担当を担う。

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