オランダ進出で知っておきたい商習慣・経済情報

オランダは、ヨーロッパの物流拠点として世界中の企業から注目されています。その理由の一つが、ロッテルダム港とスキポール国際空港の存在です。

ロッテルダム港は「ユーロポート」とも呼ばれ、欧州最大の貨物取扱量を誇る港であり、EU全域への輸送の中心地となっています。また、スキポール国際空港は、オランダの首都アムステルダムに近く、利便性の高さから欧州の主要な航空貨物拠点となっています。

さらに、オランダは古くから国際貿易が盛んで、英語が広く通じる国としても知られています。ビジネス環境の整備が進んでいるため、多くの外資系企業がオランダをヨーロッパ進出の足がかりとしています。

オランダの地理的・経済的な強み

  • ヨーロッパの中心に位置し、EU全域へのアクセスが容易
  • ロッテルダム港とスキポール空港を擁する物流大国
  • 英語の普及率が高く、国際ビジネスがしやすい環境
  • 法人税の優遇措置が整っており、外資系企業が多い

EU市場の玄関口としての役割

オランダはEU市場へのゲートウェイとして、多くの企業が進出する拠点となっています。
貿易額の84%が輸出であり、主要な取引国にはドイツ、ベルギー、イギリス、フランスが含まれています。日本企業にとっても、オランダを拠点にEU市場全体にアクセスしやすくなるメリットがあります。

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基礎から学ぶオランダの経済情報

オランダの基礎情報

  • 公用語:オランダ語
  • 首都:アムステルダム(人口155万人、2023年) ※政治の中心はデン・ハーグ
  • 人口:約1,800万人(2024年推定値)
  • 国土面積:約4.2万km²(九州と同じくらい)
  • GDP(名目):約1兆USドル(日本は4兆2,000億USドル、2024年)
  • 1人あたりGDP(名目):約5万7,000USドル(日本は3万9,000USドル、2024年)
  • 通貨:ユーロ (€) (EUR)
  • 宗教:キリスト教(カトリック20.1%、プロテスタント14.9%)、イスラム教(5.1%)、その他(無宗教・その他60%)
  • 主要産業:卸売・小売業、製造業(食品・飲料加工、化学・薬等)、医療・社会福祉業
  • 祝日:8日
  • 民族:オランダ人80.4%、その他19.6%(トルコ人、モロッコ人、旧植民地スリナムやアンティル諸島等からの移民など)

オランダの主要な産業とビジネスチャンス

  • 農業大国:農産物輸出額世界第2位(1位は米国)
  • ハイテク農業の発展:LED栽培技術、最先端の温室栽培など
  • 化学・製薬産業:製薬・化学メーカーが多く、欧州市場での影響力が大きい
  • 金融・保険:INGグループ、Aegonなどの大手金融機関が拠点を構える
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オランダの商習慣とビジネスマナー

オランダ人の働き方とビジネス文化

オランダでは、個々のスキルを活かした働き方が重視され、無駄な報告や細かい指示は不要とされています

また、フラットな組織文化が特徴で、上司と部下の関係が対等なことも多いです。

  • 意思決定は合理的に行われ、無駄な会議は少ない
  • ワークライフバランスを重視し、労働時間は比較的短め
  • 契約書を重視する文化があり、明確な取り決めが必須

オランダ企業との取引で注意すべきポイント

  • ストレートなコミュニケーションが求められ、遠回しな表現は好まれない
  • 長期的な信頼関係を築くことが重要
  • 財務情報の開示義務が企業規模によって異なる
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オランダに多い企業形態はB.V.(非公開株式会社)、財務公開は企業規模により異なる

オランダで一般的な企業形態は、B.V.(非公開株式会社)とN.V.(公開株式会社)の二種類があります。

B.V.の設立には、資本金が必要ないため(厳密には0.01ユーロ以上)、最も多くの会社がこの企業形態を採用しています。

一部の企業形態を除き、決算書開示義務がありますが、企業規模により必要な提出書類が異なります。

小規模企業(資産4.4百万ユーロ、売上高8.8百万ユーロ、従業員50人未満の項目のうち二つ以上の項目が二年以上当てはまる)では、貸借対照表のみ提出が義務付けられています。

決算期は12月で、原則決算日から5ヶ月以内に商工会議所への決算書提出が義務付けられていますが、一部、13ヶ月まで延長をすることが認められています。

そのため、決算から約5ヶ月後~13月ヶ後に決算書が入手可能になります。

クレディセイフでは、現地のニュース記事や各地の商工会議所を初めとした様々な公的機関から情報を入手し、オンラインレポートを毎日更新しています。

オランダ企業の財務情報と決算ルール

  • 決算期は12月
  • 原則として5ヶ月以内に決算書を提出(最大13ヶ月の延長が可能)
  • 企業規模に応じて異なる決算情報の公開義務
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オランダ企業 売上高トップ10(2024年版)

10. Altice(アルティス)

売上高:2兆9,134億円
CEO:デクスター・ゴーエイ
セクター:情報通信
業種:通信サービス
本社:アムステルダム
公式サイトwww.altice.net
Global 500掲載数:2
従業員数:47,143名

9. Royal Philips(ロイヤル・フィリップス)

売上高:3兆878億円
CEO:ロイ・ヤコブス
セクター:ヘルスケア
業種:医療機器・医療製品
本社:アムステルダム
公式サイトwww.philips.com
Global 500掲載数:24
従業員数:73,951名

8. LyondellBasell Industries(ライオンデルバセル)

  • 売上高:3兆7,932億円
  • CEO:ピーター・ファンカーケン
  • セクター:化学
  • 業種:化学薬品
  • 本社:ロッテルダム
  • 公式サイトwww.lyb.com
  • Global 500掲載数:11
  • 従業員数:13,400名

7. Louis Dreyfus(ルイ・ドレフュス)

  • 売上高:6兆984億円
  • CEO:マイケル・ジェルバンド
  • セクター:食料生産
  • 業種:農業・食品
  • 本社:ロッテルダム
  • 公式サイトwww.ldc.com
  • Global 500掲載数:5
  • 従業員数:17,210名

6. ING Group(INGグループ)

  • 売上高:6兆1,982億円
  • CEO:スティーブン・ファン・ライセルベルゲン
  • セクター:金融
  • 業種:銀行
  • 本社:アムステルダム
  • 公式サイトwww.ing.com
  • Global 500掲載数:24
  • 従業員数:54,302名

5. Aegon(エーゴン)

  • 売上高:7兆1,981億円
  • CEO:ラインドート・デ・モル
  • セクター:金融
  • 業種:保険
  • 本社:ハーグ
  • 公式サイトwww.aegon.com
  • Global 500掲載数:23
  • 従業員数:28,318名

4. Royal Ahold Delhaize(アホールド・デルハイゼ)

  • 売上高:7兆798億円
  • CEO:フランス・ムレ
  • セクター:小売
  • 業種:スーパーマーケット・食品販売
  • 本社:ザーンダム
  • 公式サイトwww.aholddelhaize.com
  • Global 500掲載数:24
  • 従業員数:224,000名

3. Airbus Group(エアバス・グループ)

  • 売上高:8兆2,787億円
  • CEO:ギヨーム・フォーリ
  • セクター:航空宇宙・防衛
  • 業種:航空宇宙
  • 本社:ライデン
  • 公式サイトwww.airbus.com
  • Global 500掲載数:24
  • 従業員数:129,442名

2. EXOR Group(エクソール・グループ)

  • 売上高:17兆7,845億円
  • CEO:ジョン・エルカーン
  • セクター:金融
  • 業種:持株会社
  • 本社:アムステルダム
  • 公式サイトwww.exor.com
  • Global 500掲載数:8
  • 従業員数:307,637名

1. Royal Dutch Shell(ロイヤル・ダッチ・シェル)

  • 売上高:28兆9,700億円
  • CEO:ワエル・サワン
  • セクター:エネルギー
  • 業種:石油・天然ガス
  • 本社:ハーグ
  • 公式サイトwww.shell.com
  • Global 500掲載数:24
  • 従業員数:84,000名
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