企業取引のリスク管理が重視される現在、「UBO(実質的支配者)」を正しく把握することは国内外で重要な要素となっています。
UBOは企業の最終的な支配・利益享受を行う自然人を指し、マネーロンダリング対策やコンプライアンス対応において欠かせない概念です。
日本では犯罪収益移転防止法の改正、海外ではEUのAML指令など、企業がUBO確認を行う場面は年々増えています。この記事では、UBOの定義、重要性、法規制の動き、そして企業が実務で押さえるべきUBOチェック方法を詳しく解説します。
企業取引のリスク管理が重視される現在、「UBO(実質的支配者)」を正しく把握することは国内外で重要な要素となっています。
UBOは企業の最終的な支配・利益享受を行う自然人を指し、マネーロンダリング対策やコンプライアンス対応において欠かせない概念です。
日本では犯罪収益移転防止法の改正、海外ではEUのAML指令など、企業がUBO確認を行う場面は年々増えています。この記事では、UBOの定義、重要性、法規制の動き、そして企業が実務で押さえるべきUBOチェック方法を詳しく解説します。
UBO(Ultimate Beneficial Owner)とは、企業を実質的に支配する自然人を指します。
一般的な判断基準としては、以下のような人物がUBOに該当すると考えられています。
日本では「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」に基づき、金融機関などの特定事業者が法人取引を行う際に、実質的支配者に関する確認が求められるケースがあります。
EUでもAML指令(第4次、第5次マネーロンダリング対策指令)が施行され、加盟国にUBOの透明性強化が求められています。
UBO確認が重視される背景には、マネー・ローンダリングやテロ資金供与への対策強化があります。
FATFは、2021年の対日審査以降、日本のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策について継続的な改善状況を確認しており、2024年のフォローアップでも日本の取り組みが評価対象となっています。
国内でも、金融庁のマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインにおいて、顧客だけでなく実質的支配者を含めた確認、リスクに応じた継続的顧客管理、制裁リストとの照合などが求められています。
取引先のUBOが不明確な場合のリスク
制裁規制・PEPsに関するリスク:取引先企業自体が制裁対象でなくても、その実質的支配者が制裁対象者、政府関係者、PEPsに該当する場合があります。金融庁のガイドラインでも、取引関係者やその実質的支配者を含めた制裁リスト照合、リスクに応じた確認体制の整備が示されています。
とくに海外取引では、複雑な資本構造を持つ企業が多く、UBOの特定がより困難になります。グローバルな制裁リストやPEPs(政治的影響力のある人物)との関係確認も、同時に行う必要があります。
そのため、KYC(Know Your Customer)やAML(Anti-Money Laundering)プロセスの一環として、UBO特定・UBO確認・PEPs確認を実施することが重要だと考えられています。
海外取引におけるUBO確認は、国内取引と比べて格段に複雑です。UBOの定義と閾値が国ごとに異なり、情報の入手先も多岐にわたります。
まず、国ごとの閾値の違いに注意が必要です。議決権25%が国際的な閾値として広く採用されていますが、国や規制当局によって異なる基準が設けられている場合があります。とくに金融機関では10%以上の株主開示を求めるケースもあり、取引相手の所在国の規制を事前に確認することが重要です。
次に、情報の透明性の差があります。日本では法人登記情報がある程度公開されていますが、海外では登記情報が非公開の国も多く、UBOの特定が困難なケースが少なくありません。シェル企業(ペーパーカンパニー)やオフショア法人を経由した複雑な所有構造は、専門データベースなしでは追跡が難しいです。
さらに、PEPs・制裁リストとの照合が海外取引ではとくに重要です。米国OFAC規制、EU制限措置、国際連合安全保障理事会決議、HMT(英国財務省)制裁制度など、複数の制裁体系に対応する必要があります。これらを個別に確認するのは現実的ではなく、グローバルデータベースへの一括スクリーニングが不可欠です。
UBO確認を組織として継続的に実施するには、属人化を防ぐ標準化されたフローの設計が不可欠です。以下のステップを参考に、自社の実務に合わせて整備してください。
STEP1:対象企業の情報を収集する
まず、企業名、所在地、法人番号、登記情報、代表者、役員、株主、親会社・子会社情報を確認します。海外企業の場合は、現地登記情報、企業データベース、信用調査レポート、公式サイト、公的情報などを組み合わせて確認します。
STEP2:株主構成と議決権比率を確認する
収集した情報をもとに、50%超、25%超の議決権保有者を確認し、法人株主がいる場合は、その法人の株主構成まで遡ります。間接保有の追跡が必要な場合は、資本系列を活用して視覚的に確認します。法人を介した間接保有がある場合、最終的に誰が支配しているのかを確認します。
STEP3:PEPs・制裁リスト・ネガティブ記事の照合
特定したUBOについて、PEPsデータベース・制裁規制リスト・ネガティブ記事などを照合します。企業単体では問題がなくても、実質的支配者や関連人物にリスクがある場合は、取引可否や追加確認の判断が必要になります。
STEP4:リスク評価と取引判断
確認結果をもとに、低リスク・中リスク・高リスクなどの区分を行い、取引可否・条件付き取引・追加調査の必要性を判断します。判断根拠と確認日時を記録に残すことで、社内外の監査対応にも備えられます。
STEP5:確認結果を記録し、継続的に見直す
最後に、確認日時、確認資料、照合結果、判断根拠、承認履歴を記録します。取引開始後も、定期的な見直しやモニタリングを行い、株主変更や制裁リスト更新などの変化を見逃さない体制を整えます。
これらの情報を分析し、企業を「最終的に支配している人物」を明確にすることが、UBO確認の中心となります。
UBO確認の実務では、手作業による情報収集の限界が課題です。以下の6つのポイントを押さえることで、精度を保ちながら業務負担を大幅に削減できます。
ポイント1:専門データベースを活用して情報収集率を上げる
自社調査だけでUBOを特定しようとすると、情報収集率が低くなりがちです。専門の企業データベースを活用することで、通常では特定が困難な複雑な出資関係についても、アルゴリズムによる自動特定が可能になります。コストと精度のバランスを考えると、外部データベースの活用は実務上の優先度が高い選択肢といえます。
ポイント2:資本系列で間接支配を可視化する
複数の法人を経由した間接支配は、数字だけでは把握しにくいです。資本系列を活用すると、当該企業とUBOの間にいる株主を含めた支配構造を視覚的に確認できます。これにより、見落としがちな間接保有のリスクを素早く発見できます。
資本系列による可視化は、複雑な持株構造を持つ企業グループの分析において、継続的顧客管理の効率化に役立ちます。
ポイント3:PEPs・制裁リストとの照合を同時に行う
UBOの特定だけでは不十分です。特定したUBOがPEPs(政治的影響力のある人物)や国際制裁リストに該当しないかを同時に確認する必要があります。とくに海外取引では、UBOが制裁対象国の政府関係者や制裁リスト掲載者である場合、取引自体が法的リスクを伴います。
ポイント4:継続的モニタリングで変化を見逃さない
UBO確認は一度行えば終わりではありません。株主構成の変更・経営者交代・制裁リストへの追加など、取引先の状況は常に変化します。継続的なモニタリングを行わないと、取引開始後に生じたリスクを見落とすおそれがあります。
モニタリング機能を持つツールを活用すると、対象企業・個人の更新情報や状況変化を自動通知で受け取れます。定期的に手動でチェックする手間をなくし、重要な変化を確実に把握できます。
クレディセイフのKYCプロテクト(コンプライアンスチェック)では、ID検証、PEP&制裁チェック、AMLチェックを一括で実行し、実際のメディア情報から問題の会社に関するニュースや記事を提供すると共に、UBOを識別するプロセスを合理化できます。
欧州トップクラスのデータベースプロバイダーの情報と照合し、複数の法律や規則に対する適切なスクリーニングを行うことにより、手動時間を削減、人的エラーも削減することができます。
サービスはオンライン上で完結することができ、UBO情報がなかった場合にも検索結果をキャプチャ(印刷)、保管することでUBOチェックをしたという証拠にもなります。
クレディセイフでは、与信管理から企業のモニタリング・コンプライアンスチェック・マーケティングリスト作成まで、これ1つで可能です。
3,400社を超える導入実績に基づき、与信管理で企業間取引をサポート。ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。